日本人にはあまり馴染みのないヤクですが、寒く険しい地を好んで生息するためその繊維は機能に優れ、最近ではヤクの繊維を使った商品や専門のブランドも増えてきています。
今日はそんなヤクとヤクの繊維について書いていきます!
この記事を読んだらヤクが語れるようになりますよ!
ヤクについて
ヤクは古くからチベットの遊牧民たちにとって欠かせない存在として暮らしを共にしてきました。他の動物には耐え難い寒く険しい地形でも順応できる唯一の動物で、-30℃の厳しい寒さの中遊牧民の家財道具を運びます。ヤクがいなければ移動は難しく、この地域での人々の発展はなかったのではと言われています。
ヤクの生息地について
- 中国(四川省、雲南省、チベット自治区、青海省、甘粛省、新疆ウイグル自治区)
- インド(カシミール地方)
- パキスタン
- ネパール
中国のチベット自治区を中心に周辺の国に分布しています。ネパールでは絶滅したとされていましたが、2014年に再発見されました。
ヤクは標高3000~6000mの草原やツンドラ(寒地荒原)、岩場に生息します。寒い場所を好むため夏は通年で雪のある場所に移動し、冬になると標高の低い水場に移動します。
野生のヤクは年々減少傾向にあり絶滅危惧種として国際保護動物に指定されていますが、近年の温暖化の影響でさらに追い打ちをかけられています。チベット高原では他の地域に比べ2倍ものスピードで気温が上昇しています。ヤクのメスは乳を出すため雪塊から水分補給をしますが、雪の量が減少しているため以前より標高の高い場所でメスを見かけることが多くなっています。メスが水分を求め以前より遠くまで足を伸ばしている可能性が高く、このまま水分補給が難しくなると子育てに影響しヤクの存続が危ぶまれることになります。
ヤクの種類について
中国の主な6つの地域に生息するヤクの種類を専門家委員会によって12種類に分類しました。承認された種類は下記の12種類です。
青海省(せいかいしょう)
・Plateau yak
・Huanhu yak
・A new strain of Datong yak
甘粛省(かんしゅくしょう)
・Tianzhu White yak
・Gannan yak
チベット自治区(チべットじちく)
・Pali yak
・Sibu yak
・Jiali (Alpine) yak
四川省(しせんしょう)
・Jiulong yak
・Maiwa yak
新疆ウイグル自治区(しんちゃんウイグルじちく)
・Bazhou yak
雲南省(うんなんしょう)
・Zhongdian yak
ヤクの繊維について
ヤクの繊維の長さ(繊維長)は?
ヤクの毛は外毛、中間毛、産毛の3タイプに分けられます。それぞれの平均繊維長は下記の通りです。外毛が一番長く、産毛は他の動物繊維に比べ短めです。
中間毛平均繊維長:約 5~12cm
産毛平均繊維長:約 3~5.5cm
ヤクの繊維の形状は?
寒い地に生息する動物の毛は断熱性に優れています。ヤクの毛はウールと同様クリンプ(縮れ)を持つことで断熱効果を発揮しています。ストレートで固い外毛が外壁となり、内側にクリンプのある細く柔らかい毛が密集しているため冷たい外気を入れず、暖かさを外に逃がさない構造になっています。
下のeの写真を見るとウロコ状のスケールに覆われていることがわかります。ウロコの凹凸が少ないため繊維の表面は滑らかだと推測ができます。また繊度もカシミヤに匹敵する細さなので、柔らかく滑らかな肌触りということがわかります。
ヤクの繊維の太さは?
繊維の太さを業界用語で「繊度」といいます。これから先の繊維の太さは繊度と書きます。
中間毛平均繊度:20~50μm
産毛平均繊度:16~20μm
それぞれの用途
・外毛:テントの外壁に使用
・中間毛:外毛の強度には劣るがテントやロープに使用
・産毛:マフラーや被服に使用
ヤクの繊維の水分量は?
下の表は気温20度で計測したヤクの水分量です。カシミヤの気温21度、湿度65%で計測した場合の水分量は12.6%で、カシミヤは他の繊維と比べ水分量が少ないためヤク繊維の水分量はとても少ないことがわかります。通常繊維の水分量が少ないと静電気が起こりやすいです。
76%の湿度で計測した場合
毛のタイプ | 水分量 |
---|---|
外毛 | 11.3% |
中間毛 | 7.8% |
産毛 | 7.4% |
85%の湿度で計測した場合
毛のタイプ | 水分量 |
---|---|
外毛 | 12.3% |
中間毛 | 8.5% |
産毛 | 7.7% |
ヤクの色は?
- ダークブラウン
- 栗色
- ブラック
- グレー
- ホワイト&ブラック
- ホワイト(とても珍しい)
ダークブラウン
栗色
ブラック
グレー
ホワイト&ブラック
ホワイト
ヤクの特徴は?
- 保温性に優れる
- 通気性に優れる
- 毛玉になりにくい
- カシミヤに匹敵する細い繊維と柔らかさ
保温性に優れる
ウールより10~40%高く、カシミヤと同等の保温性を持っています。
通気性に優れる
通気性はカシミヤの1.3倍と言われ、ムレにくいのはこの繊維の大きな特徴です。
毛玉になりにくい
摩擦に強い性質があるため毛玉になりにくいです。
カシミヤに匹敵する細い繊維と柔らかさ
ヤクの産毛はカシミヤとほぼ同じ繊度で繊維の表面も滑らかなためカシミヤの柔らかさに匹敵します。
ヤクの毛刈りについて
採毛時期
晩春から初夏にかけて毛の抜け替わりに合わせて抜き取ります。
採毛方法
上の写真のように手で抜けやすくなった毛を抜き取ります。
成獣の年間採毛量
産毛採毛量:0.5kg / 1頭
採毛量は生息地によって差があり、山脈を横断するタイプのヤクは高原タイプのヤクより採毛量が多いです。一番採毛量が多い種類は四川省のJiulong yakで一頭から25kg採れることもあります。これは普通のヤクの10倍に値する量です。
年齢とともに採毛量は増えますが、若ければ若いほど産毛率は高く、メスの方が年を重ねても産毛量が減りにくいです。
ちなみにメリノ種の羊は1頭から3kg-5kgほど採れます。Jiuling yakの採毛量はメリノ羊の5倍ぐらいになることも!
●ヤク知識チェックリスト
それでは上で学んだことを理解できたかチェックしましょう!
ヤクの生息地について
中国の 自治区を中心に周辺の国にも生息しています。 標高 ~ mの寒い地を好み、夏になると通年で雪のある場所に移動します。ヤクについて
中国のヤクは専門家委員会により 種に分類されています。ヤクの繊維について
産毛の平均繊維長は ~ cmで他の動物の繊維と比べて短めです。 ヤクの繊維は (縮れ)が多く断熱効果を発揮します。 産毛の平均繊度は μm~ μm。 外毛の平均繊度は μm~ μm。 ヤクの繊維は保温性と 性に優れています。 ヤクの繊維は水分量が他の動物繊維に比べて です。ヤクの採毛について
採毛は年に1回、 ~ にかけて毛の抜け替わりに合わせて行われます。上の説明を見て答え合わせをしてみて下さい!どのくらい正解できましたか!?
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