アンゴラはアンゴラウサギから採れる繊維です。フワフワで可愛いウサギですが大きい品種だと2m近くまで成長し、初めて写真を見た時はビックリしてしましました。とても毛量の多いウサギで美しい毛が採れるため古くから毛用種として飼育されてきました。
アンゴラ山羊とよく間違えてしまいますがアンゴラ山羊から採れる毛はモヘアと言います。モヘアについてはこちらで解説していますので興味のある方はチェックしてみて下さい。
今日はそんなアンゴラウサギとのアンゴラの繊維について書いていきます!
この記事を読んだらアンゴラが語れるようになりますよ!
アンゴラウサギについて
アンゴラウサギとは?原産地は?
アンゴラウサギはトルコの首都アンカラが原産地で名前の由来になっています。しかし原産地には多くの説があり今日でも確実な原産地はわかっていません。
一番有力とされている説は、トルコが原産地で1723年にトルコに出向いたフランス人が現地の女性たちの巻いている絹のように美しいショールに魅了され、アンゴラウサギを何羽か持ち帰り、その後フランスで広がったという説です。
1765年にフランスで発行された百科事典に、世界で初めてアンゴラウサギについて記載があったことからフランスが原産地だと訴えているフランスの研究員もいます。
18世紀半ばにフランス王室でペットとしてブームになり、18世紀末までにはヨーロッパ各国に広がりました。
またフランスは早くからアンゴラウサギの毛に可能性を見出し、品種改良を加え毛用種に改良し大規模な飼育を始めました。世界で初めてアンゴラの毛を糸にしたのはフランスで、これは事実ということがわかっています。
アンゴラの生産地について
- 中国
- フランス
- チェコ
- その他ヨーロッパ
- チリ
現在では中国が生産量の90%を占め、残りの10%が他国での生産になります。
アンゴラウサギの種類について
ARBAに承認されている種類は下の4種類です。
- フレンチアンゴラ
- イングリッシュアンゴラ
- サテンアンゴラ
- ジャイアントアンゴラ
ARBAとは...AMERICAN RABBIT BREEDERS ASSOCIATION(アメリカン ラビット ブリーダーズ アソシエーション)が正式名称で、ウサギやモルモットの開発や品種改良をしている組織です。
●フレンチアンゴラ
体重:3.5kg~4.5kg
ARBA承認種:Agouti, Broken, Pointed White, Self, Shaded, Ticked, and Wide Band
1944年にARBAに承認された品種。アンゴラウサギが4種類に別れる前の原種に一番近い品種と言われています。ARBAで承認されている中では2番目に大きい品種。ガードヘア(刺し毛)が多く、毛が絡みにくいので他の品種と比べればお手入れが簡単です。
●イングリッシュアンゴラ
体重:2.0kg~3.5kg
ARBA承認種:Agouti, Broken, Pointed White, Ruby-eyed White, Self, and Shaded
フレンチアンゴラと同年1944年にARBAに承認された品種。4種の中では最小で毛の密度が高く絡みやすいため頻繁に手入れする必要があります。顔がテディベアーのように可愛いため、ペットとして需要が多いです。耳にフリンジのような飾り毛があり、目の上にも長い毛が生えています。
●サテンアンゴラ
体重:3.0kg~4.5kg
ARBA承認種:White, Broken, Colored, Self, Shaded, Tortoiseshell, Ticked Color, Wide Band Color
サテンアンゴラは1970年代後半にカナダのマイヤー夫人によりフランスアンゴラとサテンの品種を組み合わせて生み出されました。とても柔らかく光沢のある綺麗な毛を持っています。アンゴラの中では紡績しやすい品種と言われていますが、他の獣毛繊維と比べると滑りやすく紡績が難しい繊維です。
●ジャイアントアンゴラ
体重:4.0kg~
ARBA承認種:Ruby-eyed White
1988年にARBAに承認されたアンゴラウサギ最大の品種です。小さくても体重は4kgで毛を含めると全長2mぐらいまで大きくなります。他の品種よりも毛の密度も高いため採毛量は4種の中で一番多いです。
アンゴラの繊維について
アンゴラの繊維の長さ(繊維長)は?
12cm~15cm(1年)
アンゴラウサギは毛の成長が早く、長い毛を持つため毛繕いをして飲み込んだ毛が消化器に詰まって命を落とす可能性が高いため、少なくとも90~120日に1回は毛を刈る必要があります。養兎場によって年に3~4回または5~6回刈り取っています。
アンゴラの繊維の形状は?
アンゴラの繊維はウールと比べるとウロコの間隔は広めで凹凸が少ない滑らかなスケールで覆われています。繊維中央にはハシゴ状の空洞が空いているため軽く、暖かい空気を溜められるので保温性に優れます。
凹凸が少ない滑らかなスケールで覆われているため綺麗な光沢が出ます。
a)タテ断面画像
ハシゴ状の空洞が空いています。
b)ヨコ断面画像
他の繊維に比べ中央の穴が大きいです。
アンゴラの繊維の太さは?
繊維の太さを業界用語で「繊度」といいます。これから先の繊維の太さは繊度と書きます。
アンゴラは刺し毛と産毛が生えているため繊度の範囲が広く、採毛した毛は整毛機にかけられます。10回ほど整毛を繰り返すことで刺し毛の混率が減り、繊度と繊維長が揃った質の高い繊維になります。
カシミヤよりも細い!!
ガードヘア(刺し毛):30μm~100μm
アンダーコート(産毛):12μm~14μm
アンゴラの原毛の色は?
白から黄褐色、灰色、茶色から黒まで色のバリエーションは豊富です。
アンゴラの特徴は?
- ウールの1/3の軽さ
- フワフワした質感
- ウールの3倍の暖かさ
- 絹のような光沢
- 吸湿性・発散性に優れる
- 製品にした時に繊維が抜けやすい
- 強度が弱い
アンゴラの特徴といえば他の繊維にはないフワフワとした質感です。カシミヤより繊度が細く、繊維の中央に大きな空洞があるためとても軽く、特有の浮遊感があります。また繊維の空洞に暖かい空気を溜められるため保温性にも優れます。
スケールの表面が滑らかで絹のような綺麗な光沢がありますが、この滑らかさがデメリットにもなり、製品にした時に繊維が抜けやすく、気がついたら着ている服に繊維がたくさん付いてしまっていることも。。
ホワイトのアンゴラウサギの毛は白度が高く、薄いパステルカラーでも綺麗に染めることができます。
アンゴラウサギの毛刈りについて
採毛時期
抜き取り:抜け替わる時期に年間4回
刈り取りの場合は時期を問わず約90日に1回、または約75日に1回の頻度で行われます。
採毛方法
刈り取り法
バリカンまたは毛バサミで一気に刈り取ります。慣れている人が行えば1羽15分ぐらいで刈り取れます。
抜き取り法
アンゴラウサギは換毛期が年4回あります。この時期に毛根が緩くなった毛を手で抜き取り、一週間後にまた同じ作業をします。この作業を何週間か繰り返す必要があるため、刈り取りより時間がかかり、抜き方によっては次に生えてくる毛の質に影響してしまうので注意が必要な採毛方法です。
成獣の採毛量
これは中国の養兎場での採毛量です。年間の採毛回数を4回とすると約2kg/年間になります。これは下の写真のウサギから採れる量で、写真を見る限りジャイアントアンゴラだと推測します。小さい種類だと1回の採毛量は約200gと言われています。
ちなみにメリノ種の羊は1頭から3kg-5kgほど採れます。ウサギの大きさを考えると意外と多く採毛ができることがわかります。
●アンゴラ知識チェックリスト
それでは上で学んだことを理解できたかチェックしましょう!
アンゴラの生産国について
世界の年間生産量の90%を が占めている。アンゴラウサギについて
ARBAに承認されている種類は4種類で アンゴラ、 アンゴラ、 アンゴラ、 アンゴラです。 ジャイアントアンゴラの体重は小さくても kg。アンゴラの繊維について
平均繊維長は3ヶ月伸ばすと5cm~ cm。1年伸ばすと12cm~ cmになります。 滑らかなウロコ状の に覆われていて、繊維の中央に 状の空洞があります。 平均産毛繊度は μm~ μm。 刺し毛の繊度は μm~ μm。 繊維の軽さはウールの 。暖かさはウールの 倍。アンゴラの採毛について
採毛方法は 法と 法がある。 1回の採毛で成獣1頭から採れる毛の量は約 g。(大きい品種の場合)上の説明を見て答え合わせをしてみて下さい!どのくらい正解できましたか!?
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